人手不足解消とハラスメント対策の両立

代表　風口豊伸
2024年9月14日
読了時間: 4分

更新日：2024年11月30日

　深刻化する人手不足と、働き方改革に伴うハラスメント対策の重要性。この2つの課題に同時に取り組むことが、現代の企業に求められています。本記事では、社会保険労務士兼人手不足解消コンサルタントの視点から、採用問題の解決とハラスメント防止の両立について解説します。健全な職場環境づくりを通じて、人材確保と定着率向上を実現する具体的な方策をご紹介します。

1.人手不足とハラスメントの現状

　　1-1. 深刻化する人手不足の実態

　　 1-2. ハラスメントが採用に与える影響

2.ハラスメントフリーな職場の重要性

　　 2-1. 法的リスクと企業イメージ

　　2-2. 生産性向上と人材定着への効果

3.採用活動におけるハラスメント対策

　　3-1. 公正な選考プロセスの構築

　　3-2. 多様性を尊重する採用方針

4.職場でのハラスメント防止策

　　4-1. 明確な方針と教育研修の実施

　　4-2. 相談窓口の設置と対応体制の整備

5.ハラスメント対策と人材確保の両立

　　5-1. 働きやすい職場環境のアピール

　　5-2. 長期的な視点での人材戦略

詳細

1.人手不足とハラスメントの現状

　　1-1. 深刻化する人手不足の実態

　　　日本の労働市場は深刻な人手不足に直面しています。厚生労働省の統計によると、　　　多くの業種で求人倍率が1を超え、特に介護や建設業界では慢性的な人材不足が続い　　　ています。この状況は企業の成長を阻害し、既存従業員の負担増加にもつながってい　　　ます。

　　　　職業別求人倍率：厚生労働省令和6年6月データ　001280194.pdf (mhlw.go.jp )　

　　1-2. ハラスメントが採用に与える影響

　　　ハラスメントの噂や実態は、企業の採用活動に大きな悪影響を及ぼします。SNSの　　　普及により、職場での問題が即座に拡散されるリスクが高まっており、ハラスメント　　　体質のある企業は優秀な人材の確保が困難になっています。

2.ハラスメントフリーな職場の重要性

　　2-1. 法的リスクと企業イメージ

　　　2020年6月から施行されたパワーハラスメント防止法により、企業にはハラスメン　　　ト対策が義務付けられました。法令遵守はもちろん、ハラスメントフリーな職場づく　　　りは企業イメージの向上にも直結し、採用活動にもプラスの影響を与えます。

　　　　　　厚生労働省：ハラスメント対策パンフレット　001019259.pdf (mhlw.go.jp )

　　2-2. 生産性向上と人材定着への効果

　　　ハラスメントのない職場環境は、従業員の心理的安全性を高め、生産性の向上につ　　　ながります。また、働きやすい環境は人材の定着率を高め、長期的な人手不足解消に　　　も寄与します。

3.採用活動におけるハラスメント対策

　　3-1. 公正な選考プロセスの構築

　　　採用面接時のセクハラや、応募者の属性による不当な差別を防ぐため、明確な選考　　　基準と面接ガイドラインを策定しましょう。また、複数人での面接実施やチェックリ　　　ストの活用も効果的です。

　　3-2. 多様性を尊重する採用方針

　　　性別、年齢、国籍などに関わらず、多様な人材を受け入れる姿勢を明確にすること　　　で、幅広い人材プールにアプローチできます。ダイバーシティ＆インクルージョンを　　　重視する姿勢は、企業の魅力向上にもつながります。

4.職場でのハラスメント防止策

　　4-1. 明確な方針と教育研修の実施

　　　経営トップによるハラスメント防止宣言を行い、全社的な取り組みとして位置づけ　　　ることが重要です。定期的な研修やeラーニングの実施により、従業員の意識向上　　　　と知識習得を図りましょう。

　　4-2. 相談窓口の設置と対応体制の整備

　　　社内外に相談窓口を設置し、問題の早期発見・解決に努めましょう。相談者のプラ　　　イバシー保護や不利益取扱いの禁止を徹底し、安心して相談できる環境を整えるこ　　　　とが重要です。

5.ハラスメント対策と人材確保の両立

　　5-1. 働きやすい職場環境のアピール

　　　採用活動において、ハラスメント防止への取り組みや働きやすい職場環境をアピー　　　ルしましょう。企業説明会や採用ホームページなどで、具体的な取り組み事例を紹介　　　することで、応募者の安心感につながります。

　　5-2. 長期的な視点での人材戦略

　　　ハラスメント対策を含む働きやすい職場づくりは、短期的な採用成果だけでなく、　　　長期的な人材確保・定着にも効果を発揮します。経営戦略の一環として位置づけ、継　　　続的に取り組むことが重要です。

まとめ

　人手不足解消とハラスメント対策の両立は、現代企業の重要課題です。ハラスメントフリーな職場は、法的リスク回避だけでなく、企業イメージ向上や人材確保・定着に寄与します。公正な採用プロセス、多様性尊重、明確な防止方針、教育研修の実施が効果的です。今後の課題として、AIを活用した早期発見・予防、リモートワーク環境での対策強化、心理的安全性の向上、グローバル対応、世代を超えた継続的な意識改革が挙げられます。これらに取り組むことで、持続的な成長と働きがいのある職場づくりが実現できます。