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従業員から『妨害』と主張され...顧問社労士は沈黙した

 前回は、給与計算の構造的ミスで全従業員に未払賃金が発生し、顧問社労士が責任を認めなかった事例をご紹介しました。今回は、労使トラブルへの対応力不足の事例をお伝えします。育児休業をめぐるトラブルが発生した時、顧問社労士は「やったことがないので対応できません」と言いました。いざという時に頼れない顧問契約に、どんな意味があるのでしょうか。

目次

  1. 事例の概要

  2. トラブルの発生

  3. 経営者の説明と従業員の納得

  4. 7ヶ月後の態度急変

  5. 顧問社労士への相談と絶望

  6. 弊社への相談

  7. 弊社の対応①:徹底的な精査

  8. 弊社の対応②:リーガルチェック体制の構築

  9. 弊社の対応③:法的問題ないことの確認

  10. 弊社の対応④:労基署・労働局対応と立会

  11. さらに発覚した問題と解決

  12. 経営者の声

  13. 次回予告

1. 事例の概要

 この企業は、IT関連企業で従業員5名未満の規模です。

 月額の顧問料を払い、顧問社労士と契約していました。


「困った時のための顧問契約」


 経営者はそう思っていました。労使トラブルなど、本当に困った時にこそ、専門家のサポートが必要だと考えていました。


 しかし、その期待は裏切られることになります。


2. トラブルの発生

 入社して5ヶ月目の従業員から、育児休業の申出がありました。

 配偶者の出産のために、育児休業を取得したいとのことでした。

 経営者は、内容を確認しました。すると、ある事実が判明しました。


 その従業員は、入社前はフリーランスとして働いており、育児休業給付金の受給要件を満たしていませんでした。


 育児休業給付金を受給するには、雇用保険の被保険者期間が一定期間必要です。この従業員は、入社5ヶ月では受給要件を満たしていなかったのです。


3. 経営者の説明と従業員の納得

 経営者は、従業員に状況を説明しました。

 「育児休業は取得できますが、給付金は受給要件を満たしていないため、支給されません。」

 「配偶者の方は専業主婦で、あなたの給与で生活されているとのこと。育児休業を取得すると無給になるため、生活を考えると難しいのではないでしょうか。」

 経営者は、従業員の生活の安定を考えた上での提案でした。

 従業員は、一旦納得しました。


 「そうですね。給付金がもらえないなら、無給では厳しいです。考えてみます。」


 経営者は、この問題は解決したと思っていました。


4. 7ヶ月後の態度急変

 それから7ヶ月が経過しました。

 従業員の雇用保険の被保険者期間が12ヶ月を超え、育児休業給付金が貰えるようになった時点で、状況が一変しました。

 従業員から、突然メールが届きました。


 「あの時、育児休業を取得させてもらえなかったのは、育児休業取得妨害ではないですか?労働基準監督署と労働局に確認しました。」


 「このことが原因で、私はうつ病になりました。」


 経営者は、驚きました。

7ヶ月前には納得していたはずなのに、なぜ今になって...?

給付金が貰えるようになったタイミングで、突然「妨害だった」と主張し始めたのです。

しかも、すでに労働基準監督署と労働局に相談済みだということでした。


5. 顧問社労士への相談と絶望

 経営者は、すぐに顧問社労士に相談しました。

「こういう時のための顧問契約」だと思っていました。労使トラブルこそ、専門家のサポートが必要な場面です。

「従業員から育児休業取得妨害だと言われています。うつ病になったとも主張しています。すでに労働基準監督署と労働局に相談しているようです。どう対応すればいいでしょうか?」

顧問社労士からの返答は、経営者を絶望させるものでした。


「やったことがないので、対応できません。」


経営者は、信じられませんでした。

「顧問料を払っているのに...」

「労務の専門家じゃないのか?」

「いざという時に頼れないなら、顧問契約の意味は何なのか?」

経営者は、一人で対応するしかない不安と恐怖を感じました。

 労働基準監督署や労働局への対応、うつ病の主張...。どう対応すればいいのか、まったく分かりませんでした。


6. 弊社への相談

 経営者は、藁にもすがる思いで、以前交流会でお会いした私に問い合わせをいただきました。

「顧問社労士に対応できないと言われました。単発でも対応していただけますか?すでに労基署と労働局に相談されているようなのですが...」

「もちろんです。詳しい状況をお聞かせください。」

 初回のご相談で、これまでの経緯を詳しくお伺いしました。

 話を聞きながら、私は思いました。

「これは、適切に対応すれば問題ない。法的に妨害意思は認められない。」


7. 弊社の対応①:徹底的な精査

まず、従業員とのやり取りをすべて時系列で提出していただきました。

  • メールのやり取り

  • LINEのやり取り(もしあれば)

  • 面談の記録

  • その他の関連資料

これらを、法的観点から精査しました。

特に重要だったのは、7ヶ月前の育児休業に関する会話の内容です。

  • 経営者は、どのように説明したのか

  • 従業員は、どのように反応したのか

  • 「妨害」と言えるような発言や態度はあったのか

  • 従業員の生活を考えた提案だったのか

すべてのやり取りを丁寧に確認しました。


8. 弊社の対応②:リーガルチェック体制の構築

今後のやり取りについて、経営者にお伝えしました。


「今後、従業員とのやり取りには、私のリーガルチェックを入れた文章で返答してください。」


労使トラブルで最も重要なのは、感情的な対応を避けることです。

「妨害していない」「そんなことは言っていない」と感情的に反論しても、事態は悪化するだけです。

法的に正確で、証拠に基づいた、冷静な文書で対応する必要があります。

そして、すべてのやり取りを記録に残すことが重要です。


9. 弊社の対応③:法的問題ないことの確認

これまでのやり取りを分析した結果、以下のことが明確になりました。


育児休業の妨害意思は認められない


経営者の説明は、以下の通りでした。

  • 「育児休業は取得できます」と明確に伝えている

  • 給付金の受給要件を満たしていない事実を説明している

  • 従業員の生活の安定を考えた提案をしている

  • 「取得するな」とは言っていない

これらから、育児休業の取得を妨害する意思は認められません。


従業員の生活を考えた提案

配偶者が専業主婦で、従業員の給与で生活している状況で、無給の育児休業を取得することの困難さを指摘したことは、従業員の利益を考えた提案です。


従業員は一旦納得している

従業員は、経営者の説明を聞いて「そうですね。給付金がもらえないなら、無給では厳しいです」と納得しています。

このやり取りの記録が残っていることが、重要でした。


法的問題はない

これらの事実から、法的に育児休業取得妨害とは認められないと判断しました。

経営者に、その旨を明確にお伝えしました。

「これまでのやり取りを見る限り、法的に問題はありません。安心してください。」

経営者の表情が、少し明るくなりました。


10. 弊社の対応④:労基署・労働局対応と立会

 従業員がすでに労働基準監督署と労働局に相談していたため、実際に呼び出しがありました。


呼び出しへの対応準備

労働基準監督署と労働局からの呼び出しに対して、弊社では以下の準備を行いました。

準備する資料のリスト作成:

  • 就業規則

  • 労働条件通知書

  • 賃金台帳

  • 出勤簿

  • 従業員とのやり取りの記録(メール、面談記録など)

  • 育児休業給付金の受給要件に関する資料

  • その他の関連資料


説明内容の整理:

  • 経緯の時系列整理

  • 経営者の説明内容の確認

  • 法的根拠の整理

  • 妨害意思がないことの証明


想定問答の準備:

  • どのような質問をされる可能性があるか

  • どのように答えるべきか

  • 避けるべき発言


労基署・労働局への立会

 弊社は、労働基準監督署と労働局への呼び出しに、経営者と一緒に同行し、立会を行いました。


労働基準監督署での対応:

監督官からの質問に対して、準備した資料を基に、事実を丁寧に説明しました。

  • 従業員の雇用保険被保険者期間

  • 育児休業給付金の受給要件

  • 経営者が行った説明の内容

  • 従業員が一旦納得した事実

  • やり取りの記録

 監督官も、資料とやり取りの記録を確認し、「育児休業の取得を妨害する意思は認められない」という判断をしました。


労働局での対応:

労働局でも、同様に事実関係を説明しました。

弊社が立ち会うことで、経営者は一人で対応する不安から解放され、冷静に説明することができました。

「一人だったら、きっと感情的になっていたと思います。隣にいてくれるだけで、こんなに心強いとは思いませんでした。」

経営者からは、後日こうした感想をいただきました。


結果

労働基準監督署も労働局も、経営者の対応に法的な問題はないと判断しました。

従業員からの主張は認められず、トラブルは沈静化しました。


11. さらに発覚した問題と解決

労使トラブルの対応を進める中で、弊社では企業の労務管理全体を確認しました。

すると、いくつかの問題が発覚しました。

  • 就業規則の一部に不備がある

  • 労働条件通知書の内容が不十分

  • 36協定届が提出されていない

  • その他の法令違反のリスク

これらの問題も、すべて修正・対応を行いました。

特に36協定届の未提出は、労働基準監督署の呼び出しの際に指摘される可能性が高い問題でした。事前に作成・提出を行ったことで、指摘を避けることができました。

もし36協定届の未提出が呼び出しの際に発覚していたら、育児休業の件とは別に、法令違反として指導を受けていた可能性があります。

法令違反も是正され、企業の労務管理体制が整いました。


12. 経営者の声

トラブル解決後、経営者からこのような感想をいただきました。

「顧問社労士には『やったことがないので対応できません』と言われ、本当に絶望しました。」

「顧問料を払っているのに、いざという時に対応してもらえない。では、何のための顧問契約だったのか、と思いました。」

「弊社に相談して、本当に良かったです。単発依頼なのに、ここまでやっていただけるとは思いませんでした。」

「リーガルチェックを入れてもらえたおかげで、感情的にならずに対応できました。一人だったら、絶対に感情的になっていたと思います。」

「労基署と労働局への呼び出しに立ち会っていただけたことが、何よりも心強かったです。一人で行っていたら、どうなっていたか分かりません。」

「36協定など、他の問題も見つけて対応していただき、感謝しています。もし呼び出しの時に指摘されていたら、さらに大変なことになっていました。顧問社労士は、何をしていたのか...。」

「『やったことがない』で逃げるプロは、プロじゃないと思います。」


13. 次回予告

 今回は、労使トラブルで顧問社労士に逃げられた企業の事例をご紹介しました。


「やったことがないので対応できません」


この言葉に、どれだけの経営者が絶望したことでしょうか。


次回は、いよいよ第2部のクライマックスです。

第13回「顧問契約の全ての問題を解決〜ある企業の完全移行ストーリー〜」では、これまでご紹介してきた問題が複合的に発生していた企業の事例をお伝えします。

  • 就業規則に基づかない給与計算による未払賃金(過去3年分)

  • 顧問社労士はミスを認めず「退職者の指示」と責任転嫁

  • 36協定届の未提出

  • その他の法令違反

そして、月額4万円の顧問料が、月額3千円に。

給与計算自動化により、コストは93%削減、サービスの質は大幅に向上しました。

最も劇的な改善事例を、詳しくお伝えします。

次回もぜひご覧ください。

弊社では、「必要な時だけ社労士サービス」を展開中。

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 顧問契約を結ぶほどじゃないとお考えの経営者様に寄り添ったサービスと自負しております。


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