社労士に手続きだけ依頼するなら顧問契約は必要ない?コスト削減のための賢い選択
- 代表 風口 豊伸
- 3月2日
- 読了時間: 5分
はじめに
物価上昇、初任給の高騰、採用費用の増加…。企業を取り巻く環境は年々厳しくなり、固定費の見直しは経営における重要課題となっています。その中で見落とされがちなのが「社会保険労務士との顧問契約」です。毎月一定額を支払っているものの、実際にはほとんど活用していないというケースが驚くほど多いのです。今回は手続き業務に焦点を当て、本当に顧問契約が必要なのかを検証していきます。
目次
社労士に依頼する一般的な手続き業務とは
顧問契約と単発契約のコスト比較
なぜ多くの企業が「不要な顧問契約」を続けるのか
コスト削減のための賢い社労士サービス活用法
まとめ:自社に最適な契約形態の見つけ方
社労士に依頼する一般的な手続き業務とは
社労士に依頼する手続き業務は多岐にわたりますが、主に以下のようなものがあります:
入社関連
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
雇用保険 被保険者資格取得届
健康保険 被扶養者(異動)届
退職関連
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届
雇用保険 被保険者資格喪失届
雇用保険 被保険者離職証明書
給与関連
健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届
傷病・労災関連
健康保険 傷病手当金支給申請書
労災保険 療養給付請求書
労災保険 指定病院等変更届
労災保険 休業補償給付請求書
労災保険 労働者死傷病報告書
これらの手続きは、どれも単発で完結可能なものです。初回は会社情報の登録などが必要となるため割高になることがありますが、2回目以降はスムーズに進めることができます。
2. 顧問契約と単発契約のコスト比較
多くの社労士事務所では月額2万円程度の顧問料が一般的です。この場合、年間24万円のコストがかかることになります。では、単発契約と比較するとどうでしょうか?
例えば、入社手続き(健康保険・厚生年金保険、雇用保険)を1件あたり6万円(初回、2件目以降2万円)とした場合、年間に何人の入社があれば顧問契約と同等になるでしょうか。単純計算で10人の入社手続きが必要となります。しかし、実際には中小企業で年間に10人も採用することはまれでしょう。
実際のコスト計算例
月額顧問料:2万円(年間24万円)
入社手続き単発:1人あたり6万円(2件目以降2万円)
年間採用数:3人(合計10万円)
退職手続き単発:1人あたり3万円
年間退職数:2人(合計6万円)
その他手続き:年間2件(2万円)※休業を伴わない労災や傷病手当金支給申請など
この場合、単発契約の年間総額は18万円となり、顧問契約と比較して年間6万円の削減が可能です。また、1年以内にご依頼いただく場合には2件目以降料金となるので、その場合の年間削減金額は10万円となります。
3. なぜ多くの企業が「不要な顧問契約」を続けるのか
私が在籍していた社労士事務所の顧問契約先約300社のうち、約3割(90社)が実質的に手続きや相談をほとんど利用していないにもかかわらず、毎月顧問料を支払い続けています。なぜこのような状況が続いているのでしょうか?
主な理由は以下の通りです:
「いざという時」の安心感
急な手続きが必要になった時にすぐに対応してもらえるという安心感を求めている
情報不足
単発で手続きを依頼できることを知らない、または社労士のホームページには月額顧問料の料金表しか掲載されていないことが多い
切り替えの手間
新たに社労士を探す手間や、会社情報を提供する手間を避けたい
既存の関係性
長年の付き合いがあり、関係を切りづらい
これらの理由は確かに理解できますが、年間数十万円の固定費を削減できる可能性を考えると、再検討の価値があるのではないでしょうか。
4. コスト削減のための賢い社労士サービス活用法
では、どのように社労士サービスを活用すれば費用対効果を最大化できるでしょうか?
自社の手続き件数を把握する
過去3年間の入退社や各種申請の件数を確認し、年間にどれだけの業務が発生しているかを把握しましょう
単発契約と顧問契約の比較検討
実際の業務量に基づいて、どちらが経済的かを計算してみましょう
無料診断を活用する
当事務所では無料で診断を行い、お客様に最適な契約形態をご提案しています。場合によっては、現在の顧問契約を継続した方が経済的という結論になることもあります
必要に応じて契約形態を変更する
例えば、一時的に労務相談が多い時期は顧問契約に、手続きだけの時期は単発契約に切り替えるといった柔軟な対応も検討価値があります
5. まとめ:自社に最適な契約形態の見つけ方
社労士との契約形態は、自社のニーズとコストバランスを踏まえて選択すべきものです。特に手続き業務だけを依頼する場合、多くの企業にとって単発契約の方がコスト削減につながる可能性が高いと言えます。
当事務所では「必要な時だけ社労士サービス」として、単発での手続き依頼を受け付けています。また、無料相談にて現状を診断した上で、顧問契約が有利と判断した場合は、現在の事務所との契約継続をお勧めすることもあります。
固定費削減が重要課題となっている今こそ、社労士との契約形態を見直す良い機会ではないでしょうか。次回は「労務相談編」として、どのような場合に顧問契約が有利になるのかをご紹介します。

「必要な時だけ社労士サービス」
みなさんの会社で、顧問契約が本当に正しい選択であるのかを判断することは難しいと考えています。2025年に入って単発の相談が急増しております。弊社はそのご相談に関して、真摯に対応し少しでもお客様のお力になれる方法を模索し、このようなサービスを始めることを決定いたしました。
単発依頼は会社情報が不明でその登録から始める必要があることで、割高になりますが、年間手続き件数によっては経費削減が可能です。
これを機に顧問契約が正しい判断であるかの確認をしてみませんか?
Comments