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給与計算ミス!!実は大変なことなんです!?


毎月行われている給与計算ですが、人がやっていることなのでミスがあるのは通常と言えます。しかし、実は恐ろしい事実が隠されています。今回は給与計算ミスがあった会社様からのお問い合わせ内容を書いていきます。



概要

●給与計算は税理士にお願いしている

●現在から10か月前にミスしていた

●標準報酬月額の変更を忘れていた

●私傷病で1か月休んでいる間の通勤手当をそのまま支給していた



相談内容

税理士から言われたのですが、給与計算が間違っていたようでその修正をしても問題ないですか?

ミスをしたのが10か月前で、内容は社会保険料の不足があり、私傷病で1か月休んでいたんですが交通費を支給していたんです...



給与計算をアウトソーシングしていいる場合には、よくあるミスとなります。労務管理をしていない会社に計算だけを任せると内情が見えてきませんので、特に従業員数が50名を超えている会社であれば、ひとり1人の労務状況は本当によくチェックしていないと見えてきません。


しかし、よくあるミスですが実はとんでもない事実が隠されています。「翌月に簡単に修正すればいいや!!」では済まされないことなんです。このことを踏まえて、私の回答を見てください。



回答

大変申し上げづらいのですがご本人様に了承を取る必要があります。もし、労働者が認めない場合には控除することはできないです。


根拠としては、労働基準法第24条「賃金支払いの5原則」というのがあります。

これは


 ●通貨払

 ●直接払

 ●全額払い

 ●毎月1回払

 ●一定期日払


となってます。つまりは労働者が普通に生活できるようにしないという事で、問題は全額払という点です。社会保険料や所得税などは控除が例外的に認められていますが、それ以外を控除する場合には労使協定が必要となります。

また、同じ様な過去の最高裁判所の判例でも会社側が敗訴しています。


福岡県教組事件 (S50.03.06最一小判)

【事案の概要】

(1) Y県は、昭和33年5月21日に公立学校の教職員Xらに支給した給与中に1日分の給与の過払があったことから、同年8月21日に支給された給与から減額したところ、Xらはこれを不当として、減額分の返還を求めて提訴したもの。

(2) 福岡高裁は、3か月経過した後の賃金との相殺は、時機を逸しており、例外的に許容される場合に該当しないとし、最高裁もこれを維持し、上告を棄却した。

【判示の骨子】

(1) 賃金過払による相殺は、過払のあった時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてなされ、その金額、方法等においても労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのないものである場合にかぎり、許されるものと解される。

(2) Y県は、過払分を翌6月分の給与から減額することが可能であったのに、8月分の給与から減額を行ったものであり、その遅延した主たる理由は、減額をすることの法律上の可否等の調査研究をしながら、当時同種事案をかかえていた東京都の動向を見守っていたところにあるのであるから、本件相殺は、これをした時期の点においていまだ例外的に許容される場合に該当しないとしている原審の認定判断は、正当として首肯することができる。


この様に合理的に接着した時期(翌月)に労働者の経済生活を脅かすことのない金額で、労働者が認める方法で控除が認められます。


先ずは、その方に真摯に話をして合意を得てください。また、このようなミスが度々起きる様であれば、給与計算の根本的なところにミスが生じる原因があると思います。給与計算方法なのか、賃金集計方法なのか、個々人の力量なのか、計算手順方法なのか、どこに原因があるかを確認して、今後同じミスが生じないようにした方が良いです。

アウトソーシングする場合には、会社様から労務状況報告書を勤怠集計と併せてご提出いただかないと、給与計算料金は現在頂いている料金の数倍頂かないとできない計算になります。


つまりは給与計算をアウトソーシングしていたとしても、労務管理をした結果を別途アウトソーシング先に連絡するための別様式のフォームに転記しなければならないのです。結果として給与計算をアウトソーシングしても会社側の工数はさして変わらないという事になります。


私は人事労務経験を10年以上経験し、その間、給与計算をしてましたが、アウトソーシングは全く意味がないと実感しています。恐らく、労務管理を実務としている人に確認をしていただければ、実感していただけると思います。


ただし、正しいシステムが導入されていて、勤怠管理も毎日の業務としてアラート管理がされており、更にアウトソーシング側とシステム連携がされている場合には、問題なく給与計算がされると思います。


しかし、そこまでされているのであれば、自社で給与計算は簡単にできるので、給与計算料金が無駄な支払いとなってしまいます。


給与計算、実は大変な作業(ミスがあった場合には後々のトラブル、煩雑な作業が追加される)であると実感していただけたら幸いです。


毎日勤怠管理をしている方が給与計算をした方がミスが少なく、工数が変わらなく、更に計算料金を外部に払う必要がないので、自社で計算をするようにした方が良いでしょう!!

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