スタートアップが本当に必要な労務管理~社労士に頼らない選択肢
- 代表 風口 豊伸

- 2025年11月16日
- 読了時間: 11分
これまで7回にわたって、顧問契約の問題点と単発契約の合理性についてお伝えしてきました。今回は視点を変えて、「そもそも社労士に依頼すべきことは何か?」「自社でできることは何か?」を整理します。
社労士に依頼すれば全てが解決するわけではありません。また、全てを社労士に任せる必要もありません。スタートアップにとって本当に必要な労務管理とは何か、そして限られたリソースをどこに投入すべきかを考えます。
目次
社労士に依頼すべき業務と自社でできる業務
最小限の労務管理で法令遵守する方法
無料で利用できる公的サービスの活用
給与計算ソフトと労務管理ツールの活用
本当に投資すべき労務管理のポイント
1. 社労士に依頼すべき業務と自社でできる業務
社労士に依頼すべき業務(アウトソース推奨)
法定手続きの代行
社会保険・雇用保険の各種手続き
資格取得・喪失の届出
算定基礎届
労働保険年度更新
36協定届の作成・提出
理由
専門知識が必要
ミスがあると従業員に不利益
電子申請の方が効率的
時間コストを考えると外注が合理的
自社でやろうとすると
手続きの調査に時間がかかる
書類の書き方で迷う
窓口に何度も足を運ぶ
本業に集中できない
専門的な判断が必要な業務
労務トラブルへの対応
解雇・退職勧奨の適法性
ハラスメント対応
労働基準監督署からの指導
未払い残業代の問題
理由
法的リスクが高い
判断を誤ると訴訟リスク
最新の法令・判例の知識が必要
複雑な制度設計
変形労働時間制の導入
裁量労働制の導入
複雑な賃金制度の設計
自社でできる業務(内製化推奨)
日常的な労務管理
勤怠管理
出退勤の記録
有給休暇の管理
残業時間の把握
方法
勤怠管理システムの導入(月額数百円~)
エクセルでの管理も可能
クラウドサービスの活用
給与計算の基礎
給与計算ソフトの利用
基本的な給与明細の作成
社会保険料の控除計算
方法
給与計算ソフトの導入
クラウド給与計算サービス
初期設定のみ社労士に相談
情報収集・基礎学習
法令情報の収集
厚生労働省のウェブサイト
労働局の情報
無料セミナーへの参加
基本的な労働法の理解
労働基準法の基礎
最低賃金法
労働契約法の基本
方法
厚生労働省のパンフレット(無料)
YouTubeの解説動画
書籍での学習
社内書類の作成
雇用契約書
テンプレートの活用
厚生労働省のモデル就業規則を参考
初回のみ社労士にチェック依頼
労働条件通知書
法定記載事項を押さえる
テンプレートを作成
標準化して使い回す
判断のポイント
社労士に依頼すべきか自社でやるべきかの基準
専門性の高さ:専門知識が必須→社労士
リスクの大きさ:法的リスクが高い→社労士
頻度:日常的に発生→自社
緊急性:すぐ対応が必要→自社(日常業務)
コスト:時間コストを考慮→適切に判断
基本的な考え方
法定手続き=社労士(年数回の発生、専門性高い)
日常管理+情報収集=自社(毎日・毎月の業務、ツール活用)
2. 最小限の労務管理で法令遵守する方法
スタートアップに必須の3つの管理
1. 労働時間の適切な記録
法的義務
労働基準法で義務付けられている
記録がないと未払い残業代のリスク
最小限の方法
勤怠管理システムの導入(月額500円~)
出勤簿の作成(Excelでも可)
タイムカードの導入
重要なポイント
始業・終業時刻を記録
休憩時間を記録
最低5年間(当分の間は3年間)の保存
2. 雇用契約書の作成
法的義務
労働条件の明示義務
書面での交付が必要
最小限の方法
厚生労働省のモデルを使用
必須記載事項を漏らさない
初回作成時のみ社労士にチェック依頼
必須記載事項
労働契約の期間
就業の場所、従事する業務及び変更の範囲
始業・終業時刻、休憩時間
賃金の決定、計算・支払方法
退職に関する事項
3. 社会保険・雇用保険の加入
法的義務
要件を満たす従業員は必ず加入
未加入は違法
最小限の方法
社労士に手続きを依頼
自社では加入要件の把握のみ
入退社のたびに依頼
やらなくても当面問題ないこと
就業規則(従業員10名未満)
法的義務
常時10名以上で作成・届出義務
10名未満は義務ではない
推奨対応
10名未満なら雇用契約書で代用可能※
※懲戒処分をするためには、就業規則の作成は必須
将来的に必要になったら作成
リソースは他に投入
複雑な人事制度
必要性
スタートアップの初期には不要
組織が安定してから検討
推奨対応
シンプルな賃金制度
評価制度は最小限
複雑化は成長後に
各種規程の整備
必要性
法的義務ではない
組織規模に応じて
推奨対応
当面は必要最小限
問題が発生してから対応
テンプレートの活用
優先順位の付け方
最優先(法的義務+リスク大)
労働時間の記録
雇用契約書の作成
社会保険・雇用保険の加入
36協定の届出(残業がある場合)
算定基礎届・労働保険の年度更新(一定の加入要件あり)
優先度中(法的義務だが猶予あり)
6. 就業規則(10名以上になったら)
優先度低(あれば良い)
7. 各種規程の整備
8. 複雑な人事制度
9. 研修制度
やらなくても良い(初期段階)
10. 助成金申請
11. 高度な労務管理システム
12. 人事コンサルティング
3. 無料で利用できる公的サービスの活用
厚生労働省の無料サービス
モデル就業規則・各種ひな型
内容
就業規則のひな型
雇用契約書のひな型
36協定のひな型
各種届出様式
入手方法
厚生労働省ウェブサイトからダウンロード
無料で利用可能
定期的に更新される
活用方法
自社の状況に合わせてカスタマイズ
初回のみ社労士にチェック依頼
以降はテンプレートとして活用
各種パンフレット・ガイドブック
内容
労働法の基礎知識
最新の法改正情報
事例集
入手方法
ウェブサイトからダウンロード
労働局の窓口で入手
全て無料
労働局・労働基準監督署の無料相談
窓口相談
内容
労働法に関する相談
手続きに関する質問
書類の書き方
利用方法
予約不要(窓口による)
平日の営業時間内
無料
注意点
一般的な説明のみ
個別具体的な判断は限定的
書類作成の代行はしない
電話相談
内容
簡単な質問への回答
情報提供
利用方法
各労働局の相談ダイヤル
平日の営業時間内
無料
ハローワークの無料サービス
雇用保険関連の相談
内容
雇用保険の加入要件
手続きの方法
離職票の作成方法
利用方法
窓口での相談
電話での問い合わせ
無料
助成金の相談
内容
助成金の種類
要件の確認
申請方法の説明
利用方法
事前予約推奨
無料
注意点
申請の可否判断は自己責任
複雑な案件は社労士に依頼推奨
無料セミナー・説明会
行政主催のセミナー
内容
法改正の説明会
労務管理の基礎講座
助成金の説明会
参加方法
労働局のウェブサイトで確認
商工会議所の情報
無料
社労士会の無料相談会
内容
月1回程度の無料相談会
30分程度の個別相談
基本的な質問に回答
利用方法
各都道府県社労士会のサイトで確認
予約制
無料
4. 給与計算ソフトと労務管理ツールの活用
給与計算ソフトの選び方
クラウド型給与計算サービス
主要サービス
KING OF TIME(勤怠管理+給与計算):月額300円/人
freee人事労務
マネーフォワードクラウド給与
ジョブカン給与計算
メリット
月額数百円から利用可能
法改正に自動対応
どこからでもアクセス可能
社労士との連携機能
KING OF TIMEの特徴
勤怠管理と給与計算が一体
月額300円/人のシンプル料金
従業員5名なら月額1,500円
中小企業に最適
選び方のポイント
従業員数で料金が変動
勤怠管理との連携(一体型がおすすめ)
使いやすさ
サポート体制
パッケージ型ソフト
特徴
買い切り型
自社サーバーで管理
カスタマイズ性が高い
注意点
法改正時の対応が必要
初期費用が高い
スタートアップには不向き
勤怠管理システムの活用
おすすめのシステム
KING OF TIME(給与計算一体型):月額300円/人
ジョブカン勤怠管理
人事労務freee
メリット
月額数百円~
スマホで打刻可能
自動集計
給与計算ソフトとの連携(一体型も)
KING OF TIMEの特徴
勤怠管理と給与計算が一体で月額300円/人
従業員5名なら月額1,500円で全て完結
別々にシステムを導入する必要がない
コストパフォーマンスが高い
導入効果
労働時間の正確な把握
未払い残業代リスクの低減
管理工数の削減
給与計算との連携で二重入力不要
労務管理ツールの活用
入退社手続きの効率化
オフィスステーション(初期導入費用が高額)
社会保険・雇用保険の手続き支援
電子申請に対応
社労士との連携
SmartHR(給与計算等はできない)
入退社手続きの簡素化
従業員情報の一元管理
社労士との連携
メリット
書類作成の効率化
従業員情報の管理
社労士への情報提供がスムーズ
注意点
最終的な手続きは社労士に依頼推奨
ツールだけでは完結しない
コストパフォーマンスの考え方
導入すべきツール(優先度順)
最もおすすめ:一体型システム
KING OF TIME(月額300円/人)
勤怠管理+給与計算が一体
従業員5名なら月額1,500円
法令遵守に必須
コストパフォーマンス最高
個別導入する場合
勤怠管理システム(月額500円~)
法令遵守に必須
リスク回避効果大
給与計算ソフト(月額2,000円~)
計算ミスの防止
時間の大幅削減
労務管理ツール(月額数千円~)
入退社手続きの効率化
従業員数10名以上で検討
投資対効果の計算
例:従業員5名のスタートアップ(KING OF TIME使用)
KING OF TIME(勤怠+給与):月額1,500円
合計:月額1,500円(年間18,000円)
効果
勤怠管理の時間:月3時間→0.5時間(2.5時間削減)
給与計算の時間:月5時間→1時間(4時間削減)
合計削減時間:月6.5時間
時給換算3,000円なら月19,500円の効果
年間234,000円の時間コスト削減
投資対効果:約13倍
例:従業員5名のスタートアップ(個別導入)
勤怠管理システム:月額1,000円
給与計算ソフト:月額3,000円
合計:月額4,000円(年間48,000円)
効果
同様に年間234,000円の時間コスト削減
投資対効果:約5倍
結論:KING OF TIMEのような一体型システムがコストパフォーマンス最高
5. 本当に投資すべき労務管理のポイント
投資すべき3つのポイント
1. 法令遵守のための最低限の投資
必須の投資
社会保険・雇用保険の手続き(社労士への依頼)
36協定の作成・届出
勤怠管理+給与計算システムの導入(KING OF TIMEなど)
理由
法的義務
リスク回避
罰則・訴訟リスクの防止
年間コスト
社労士への手続き依頼:年間10万円~
KING OF TIME(勤怠+給与):年間1.8万円(5名の場合)
合計:年間11.8万円~
2. トラブル予防のための投資
推奨する投資
雇用契約書の適切な作成(初回のみ社労士にチェック)
労働条件の明確化
基本的な労働法の学習
理由
トラブル発生時のコストは莫大
予防的措置が最も安い
従業員との信頼関係構築
年間コスト
雇用契約書チェック:1~2万円(初回のみ)
書籍・セミナー:数千円~1万円
合計:年間1~3万円
3. 効率化のための投資
推奨する投資
勤怠管理+給与計算の一体型システム(KING OF TIME)
または個別の給与計算ソフト
労務管理ツールの導入(従業員10名以上)
理由
時間コストの削減
本業への集中
ミスの防止
年間コスト(KING OF TIME使用)
KING OF TIME:年間1.8万円(5名)~3.6万円(10名)
労務管理ツール:年間6万円~(10名以上で検討)
合計:年間1.8万円~9.6万円
年間コスト(個別導入)
勤怠管理システム:年間1.2万円~
給与計算ソフト:年間3.6万円~
労務管理ツール:年間6万円~(10名以上で検討)
合計:年間4.8万円~10.8万円
結論:一体型システムの方が安くて効率的
投資すべきでないこと
過剰な労務管理システム
従業員数に見合わない高額システム
使いこなせない多機能システム
初期費用が高額なパッケージ
不必要な顧問契約
前回までに検証した通り
年間入退社が各20名未満なら不要
固定費は最小限に
時期尚早な制度整備
複雑な人事評価制度
過度な規程整備
組織が安定してから検討
適切な投資配分
スタートアップの労務管理予算の目安
従業員数5名未満
年間予算:13万円~17万円
内訳:
社労士手続き費用:10万円~
KING OF TIME(勤怠+給与):1.8万円
その他:1~5万円
従業員数5~10名
年間予算:18万円~28万円
内訳:
社労士手続き費用:15万円~
KING OF TIME(勤怠+給与):3.6万円
労務相談:数万円~
従業員数10~20名
年間予算:30万円~50万円
内訳:
社労士手続き費用:20万円~30万円
KING OF TIME(勤怠+給与):7.2万円
労務管理ツール:6万円~
その他:数万円~
重要:顧問契約(年間18万円~36万円以上)は含まれていません
ポイント:KING OF TIMEのような一体型システムを使えば、勤怠管理と給与計算を合わせて月額300円/人で実現可能
まとめ
スタートアップが本当に必要な労務管理:
社労士に依頼すべきこと
法定手続きの代行(社会保険・雇用保険、36協定)
専門的判断が必要な業務(トラブル対応、複雑な制度設計)
単発契約で十分対応可能
自社でできること
日常的な勤怠管理(システム活用)
給与計算の基礎(ソフト活用)
情報収集・基礎学習(無料リソース活用)
最小限の法令遵守
労働時間の記録
雇用契約書の作成
社会保険・雇用保険の加入
これだけで法的リスクは大幅に低減
無料サービスの活用
厚生労働省のモデル就業規則・ひな型
労働局・ハローワークの無料相談
無料セミナー・説明会
適切な投資
法令遵守:年間11.8万円~
トラブル予防:年間1~3万円
効率化:KING OF TIME(勤怠+給与)年間1.8万円~
合計:年間13万円~28万円程度
重要な結論
顧問契約(年間18万円~)に投資するよりも:
KING OF TIME(勤怠+給与一体型):年間1.8万円~(5名の場合)
必要な時だけ社労士に単発依頼:年間10万円~
この組み合わせが最も合理的でコストパフォーマンスが高い
限られたリソースは、本業の成長に投資しましょう。労務管理は最小限の投資で法令遵守を実現し、トラブルを予防することが重要です。
次回は、これまでのシリーズを総括し、「本当に企業のためになる社労士の在り方」について考察します。

弊社では、「必要な時だけ社労士サービス」を展開中。
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