単発契約で社労士を上手に活用する5つのコツ
- 代表 風口 豊伸

- 11月15日
- 読了時間: 8分
前回は、企業規模別の最適な社労士活用法を検証し、ほぼ全ての企業で単発契約が有利という結論に至りました。今回は、実践編として「単発契約で社労士を上手に活用する具体的な方法」をお伝えします。
「単発契約で本当に大丈夫?」「必要な時にすぐ対応してもらえる?」「顧問契約がないと優先順位が低くなるのでは?」
こうした不安を持つ経営者の方も多いでしょう。しかし、適切な方法で活用すれば、単発契約でも十分に質の高いサービスを受けることができます。
目次
単発契約に対応している社労士事務所の見つけ方
初回依頼時に準備すべき情報と書類
スムーズなやり取りのためのコミュニケーション術
自社でできることと社労士に任せることの線引き
長期的な関係構築のポイント
1. 単発契約に対応している社労士事務所の見つけ方
多くの社労士事務所は「顧問契約限定」
前回までに見てきた通り、多くの社労士事務所は:
ホームページに顧問契約料金のみ掲載
単発業務を積極的に受けない方針
「顧問契約がないと対応できない」という姿勢
このような事務所では、単発契約での質の高いサービスは期待できません。
単発契約歓迎の社労士事務所の特徴
ホームページでの見分け方
単発料金表が明確に掲載されている
「必要な時だけ」「スポット対応」などのキーワード
スタートアップ・中小企業向けを明示
顧問契約を強制していない記載
サービス内容での見分け方
単発手続き料金が明記されている
手続き単位での料金設定が明確
相談料金が時間単位で設定
オンライン対応可能
問い合わせ時の確認ポイント
単発対応の可否:「顧問契約なしでも対応いただけますか?」
料金の明確さ:「手続き費用を事前に教えていただけますか?」
対応スピード:「依頼から完了までどのくらいかかりますか?」
追加料金の有無:「提示された料金以外に費用は発生しますか?」
避けるべき社労士事務所の特徴
単発料金を明示しない(「お問い合わせください」のみ)
「顧問契約を前提に」という条件を付ける
単発だと割高な料金設定
対応が遅い、対応が悪い、または後回しにされる
探し方の具体的な方法
インターネット検索
「社労士 単発 [地域名]」で検索
「社労士 スポット対応」で検索
検索結果のホームページで料金表を確認
口コミ・紹介
同じ規模の経営者仲間に聞く
スタートアップコミュニティで情報収集
SNSでの評判を確認
初回の見極め
問い合わせ時の対応の早さ
説明の明確さ
押し売り感がないか
相談しやすい雰囲気か
重要:弊社のように「必要な時だけ社労士サービス」を明確に打ち出している事務所を選ぶことが成功の鍵です
2. 初回依頼時に準備すべき情報と書類
初回手続きで必要な会社情報
社労士が会社情報を登録するために必要な情報:
基本情報
会社名(正式名称)
所在地
代表者氏名
電話番号・メールアドレス
事業内容
設立年月日
労働保険・社会保険関連
労働保険
労働保険番号(取得済みの場合)
業種(事業の種類)
前年度の概算保険料
保険関係成立年月日(設置年月日)
雇用保険適用事業所番号
雇用保険適用年月日
2元適用事業所の場合:労災保険と雇用保険の両方の番号
社会保険
社会保険適用事業所番号(取得済みの場合)
適用年月日
厚生年金保険事業所整理記号
健康保険事業所整理記号
その他
就業規則(作成済みの場合)
雇用契約書のひな型
従業員情報
氏名(読み仮名含む)、生年月日、住所
マイナンバー
基礎年金番号
雇用保険被保険者番号(前職がある場合)
雇用形態(正社員、契約社員など)
給与額
勤務開始日
手続き別の必要書類
社会保険・雇用保険の資格取得
雇用契約書または労働条件通知書
マイナンバー確認書類
基礎年金番号が分かる書類(年金手帳など)
扶養家族がいる場合:家族の情報
退社手続き
退職日
退職理由
離職票が必要かどうか
最終月の給与情報
36協定
前年度の36協定書(更新の場合)
今年度締結する36協定書の写し
労働時間制度(通常の労働時間制、変形労働時間制など)
時間外労働の上限設定
労働者代表の氏名
事前準備のチェックリスト
初回依頼をスムーズに進めるために:
□ 会社の基本情報を整理している
□ 従業員の個人情報を収集している
□ マイナンバーの管理体制ができている
□ 給与計算の方法が決まっている
□ 労働時間制度が明確になっている
□ 雇用契約書のひな型がある
準備が整っていればいるほど、初回手続きがスムーズに進み、費用も抑えられます
3. スムーズなやり取りのためのコミュニケーション術
依頼時の明確な伝え方
良い依頼の例
「従業員1名の社会保険・雇用保険の資格取得手続きをお願いしたいです。入社日は○月○日です。必要な書類は何でしょうか?費用と納期を教えてください。」
ポイント
何を依頼したいか明確
必要な日程を提示
費用と納期の確認
避けるべき依頼の例
「従業員を雇うんですけど、何か手続きが必要ですよね?よろしくお願いします。」
問題点
具体性がない
期限が不明
社労士側で確認事項が増える
質問の仕方
効率的な質問
「36協定の有効期間は1年間でしょうか?毎年更新が必要ですか?」
良い点
具体的で明確
Yes/Noで答えやすい
追加の質問も明確
非効率な質問
「36協定について教えてください」
問題点
範囲が広すぎる
何を知りたいか不明
長時間の説明が必要になる
情報提供のコツ
まとめて提供する
必要な情報をExcelやスプレッドシートで整理
メール1通で完結させる
添付ファイルは分かりやすく命名
避けるべき方法
情報を小出しにする
何度もメールのやり取りをする
口頭だけで伝える
レスポンスの早さ
単発契約でも良好な関係を築くために:
社労士からの質問には24時間以内に返信
書類の提出は期限を守る
確認事項があれば早めに相談
単発契約でも、やり取りがスムーズなクライアントは手続きも素早く処理されます
4. 自社でできることと社労士に任せることの線引き
自社でできること
情報収集
労働保険・社会保険の基礎知識
厚生労働省のウェブサイトで最新情報確認
必要な手続きの概要把握
書類の準備
従業員情報の整理
雇用契約書の作成
給与計算の基礎データ
簡単な相談
インターネットで調べれば分かる基本的な事項
行政機関の窓口での相談(無料)
社労士に任せるべきこと
専門的な判断が必要な事項
複雑な労働時間制度の設計
変形労働時間制の導入
特殊な雇用形態の労務管理
手続きの実行
労働保険・社会保険の各種届出
労働基準監督署・ハローワークへの提出
電子申請の代行
トラブル対応
労働基準監督署からの指導への対応
従業員とのトラブル
法令違反のリスク確認
コスト削減のための工夫
相談前の自己学習
無料で相談できる時間を有効活用するために:
基本的な用語は事前に調べる
質問を箇条書きで整理
優先順位をつける
年間スケジュールの把握
定期的に発生する手続きを把握:
4月:労働保険年度更新の準備
6月:労働保険年度更新
7月:算定基礎届
3月:36協定の更新(4月に締結していた場合)
事前に準備しておけば、慌てずに対応できます。
テンプレートの活用
2回目以降の手続きのために:
初回の書類をテンプレート化
従業員情報のフォーマット統一
提出書類のチェックリスト作成
5. 長期的な関係構築のポイント
単発契約でも継続的な関係は可能
顧問契約がなくても、良好な関係を築くことで:
優先的に対応してもらえる
料金の相談がしやすくなる
緊急時にも対応してもらいやすい
信頼関係を築く方法
約束を守る
書類提出の期限を守る
支払いを遅延しない
連絡したら必ず返信する
感謝を伝える
手続き完了後にお礼のメールを送る
スムーズな対応に対して感謝を表明
年末年始などの挨拶
定期的なコンタクト
年に1回程度、会社の近況を報告
新しい取り組みについて相談
法改正があった時に質問
避けるべき行動
過度な値下げ交渉
最初から値切る
他の事務所と比較して圧力をかける
正当な料金を支払わない
無理な要求
即日対応を強要する
深夜・休日の対応を求める
専門外の業務を依頼する
一方的な関係
困った時だけ連絡する
感謝の言葉がない
社労士を下請けのように扱う
複数の社労士との関係
単発契約の利点を活かして:
メイン社労士を決める
基本的な手続きは同じ社労士に依頼
会社の状況を理解してもらう
継続的な関係を築く
専門分野で使い分け
助成金に強い社労士
労務トラブルに強い社労士
特定業種に詳しい社労士
柔軟な使い分けが単発契約の最大のメリット
将来的な顧問契約への移行
事業が成長して、年間入退社が各20名を超えるようになったら:
顧問契約への切り替えを検討
それまでの関係が活きる
スムーズに移行できる
ただし、ほとんどの企業は単発契約のままで十分です
まとめ
単発契約で社労士を上手に活用する5つのコツ:
単発契約歓迎の社労士事務所を選ぶ
料金表が明確
「必要な時だけ」を明示
押し売りがない
初回依頼時の準備を万全に
会社情報を整理
従業員情報を収集
必要書類を把握
スムーズなコミュニケーション
依頼内容を明確に
情報をまとめて提供
レスポンスを早く
適切な線引き
自社でできることは自社で
専門的な判断は社労士に
コスト意識を持つ
長期的な信頼関係の構築
約束を守る
感謝を伝える
適度なコンタクトを維持
重要なのは、単発契約だからといって一回限りの関係と考えないことです。良好な関係を築けば、顧問契約がなくても質の高いサービスを受けられます。
また、「必要な時だけ社労士サービス」を提供する弊社のような事務所を選ぶことで、安心して単発契約を活用できます。
次回は、これまでのシリーズを総括し、「本当に必要な労務管理とは何か」について考察します。

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