第5回 「年1回の算定基礎届や年度更新、単発で大丈夫?」
- 代表 風口 豊伸

- 3 日前
- 読了時間: 9分
前回は、「相談」について検証しました。今回は、「年に1回の手続き」についての不安を解消します。「算定基礎届や年度更新を忘れてしまうのでは?」「顧問契約がないと、年次手続きを対応してもらえないのでは?」こうした不安は、本当にリスクなのか、それとも思い込みなのか。実際の事例を基に検証していきます。
目次
算定基礎届・年度更新とは何か
「顧問契約があれば追加料金なし」は本当か
年次手続きこそ単発が向いている理由
スケジュール管理の方法
事前準備のサポート
実際の料金比較
今日のまとめ
次回予告
1. 算定基礎届・年度更新とは何か
まず、算定基礎届と年度更新について整理します。
算定基礎届とは
毎年7月1日〜10日に提出が必要な届出です。
目的:従業員の社会保険料(健康保険・厚生年金)の標準報酬月額を見直すため
対象:社会保険に加入している全従業員
提出先:年金事務所(または健康保険組合)
提出期限:毎年7月10日
標準報酬月額が変わると、従業員の社会保険料の金額が変わります。正しく届け出ないと、保険料の過不足が生じます。
年度更新とは
毎年6月1日〜7月10日に手続きが必要な労働保険の更新です。
目的:労働保険料(労災保険・雇用保険)の確定申告と概算保険料の申告・納付
対象:労働者を雇用している全事業所
提出先:労働基準監督署または都道府県労働局
期限:毎年7月10日
前年度の確定保険料を精算し、新年度の概算保険料を申告・納付する手続きです。
2つの手続きの共通点
算定基礎届と年度更新には、共通点があります。
毎年6月〜7月に集中する
期限が明確に決まっている
手続きの内容は、毎年ほぼ同じ
この「毎年同じ時期に、ほぼ同じ内容の手続きをする」という特性が、実は単発手続きに非常に向いているのです。
2. 「顧問契約があれば追加料金なし」は本当か
多くの経営者がこう思っています。
「算定基礎届や年度更新は、顧問料の中に含まれているはず」
しかし、これは本当でしょうか?
顧問契約でも別途料金が発生する
実は、多くの社労士事務所では、算定基礎届・年度更新は顧問料とは別に料金が発生します。
毎月顧問料を払っていても、この2つの年次手続きについては「別途お見積り」となるケースがほとんどです。
つまり、顧問契約を結んでいる会社も、単発でご依頼いただく会社も、この手続きにかかる料金の構造は同じなのです。
書類準備についても同様
顧問社労士に給与計算を依頼している場合は、給与データが社労士側にあるため、書類準備の手間は少なくなります。この点は、単発手続きとの違いと言えます。
一方、給与計算を自社で行っている場合は、算定基礎届・年度更新に必要な資料を会社側で準備する必要があります。これは、単発でご依頼いただく場合と変わりません。
整理すると
給与計算を社労士に依頼している場合 | 給与計算を自社で行っている場合 | |
書類準備 | 社労士側にデータあり・手間が少ない | 会社側で準備が必要(単発と同じ) |
料金 | 顧問料とは別途発生 | 顧問料とは別途発生 |
給与計算を依頼しているかどうかにかかわらず、料金が別途発生する点は単発と変わりません。
「顧問契約を結んでいれば、年次手続きも追加料金なしで対応してもらえる」というのは、思い込みであることが多いのです。
3. 年次手続きこそ単発が向いている理由
実は、算定基礎届・年度更新のような年次手続きは、単発手続きに非常に向いています。
理由①:時期が明確に決まっている
毎年6月〜7月というスケジュールが決まっているため、「忘れてしまう」リスクは、工夫次第でゼロにできます。
カレンダーに登録しておけば、「今年も算定基礎届の時期だ」と自然に気づきます。
理由②:内容が毎年ほぼ同じ
「どんな手続きか」「何を準備すればいいか」が毎年ほぼ同じです。
一度経験すれば、「今年も同じ書類を準備して、社労士に依頼する」という流れが定着します。
理由③:スポットで依頼しやすい
「6月になったら依頼する」と決めておけば、あとは時期が来たら連絡するだけです。
顧問契約のように「継続的な関係」を維持する必要がありません。
理由④:コストの予測が立てやすい
年次手続きの料金は毎年ほぼ同じです。「今年の算定基礎届はいくらかかるか」を事前に把握でき、予算計画を立てやすくなります。
4. スケジュール管理の方法
「顧問契約がないと、手続きの時期を忘れてしまうのでは?」
この不安に答えます。
弊社からのリマインド
弊社では、過去にご依頼いただいたお客様に対して、時期が近づいたらご連絡しています。
5月末:「6月から年度更新・算定基礎届の時期が始まります」とご連絡
6月初旬:年度更新の具体的な手続きのご案内
6月中旬:算定基礎届の具体的な手続きのご案内
「顧問契約がなくても、連絡が来る」という仕組みを整えています。
ご自身でのスケジュール管理
弊社からのご連絡を待つだけでなく、ご自身でもスケジュール管理をすることをお勧めします。
シンプルな方法としては:
Googleカレンダーに毎年繰り返しの予定を登録
「5月末:社労士に算定基礎届・年度更新の依頼を連絡する」
「6月初旬:年度更新の書類準備開始」
「6月末:算定基礎届の書類準備開始」
この3つを登録しておくだけで、「忘れてしまう」リスクはほぼゼロになります。
年間スケジュールの把握
主な年次手続きのスケジュールを整理すると:
時期 | 手続き |
6月〜7月10日 | 年度更新(労働保険料の申告・納付) |
7月1日〜10日 | 算定基礎届(社会保険料の見直し) |
12月 | 年末調整(所得税の精算) |
随時 | 入退社手続き、各種変更届など |
これらを年間カレンダーに登録しておけば、「気づいたら期限を過ぎていた」という事態は防げます。
5. 事前準備のサポート
「書類の準備が大変そう」という不安もあると思います。
必要な情報・書類は毎年ほぼ同じ
算定基礎届・年度更新に必要な情報は、毎年ほぼ同じです。一度整理してしまえば、翌年以降の準備はスムーズになります。
算定基礎届に必要な従業員情報
氏名・生年月日・性別
マイナンバー
健康保険整理番号
基礎年金番号
前年の標準報酬月額
短時間労働者種別
2等級差が生じている従業員の昇給情報(該当者のみ)
年度更新に必要な情報
雇用保険被保険者の給与・賞与情報
雇用保険未加入者の給与・賞与情報
役員で労働者性がある方の給与・賞与情報
雇用保険加入者の雇用保険番号
初めて見ると情報量が多く感じるかもしれません。しかし、これらの情報は毎年変わるものではなく、一度整理してしまえば翌年以降はほぼ同じ情報を使い回すことができます。
弊社の事前準備サポート
初めて弊社にご依頼いただく場合は、何を準備すればいいか分からないこともあります。
そのため弊社では、依頼を受けた際に:
必要情報のチェックリストをお送りする
情報の収集・整理方法についてご説明する
疑問点はメール・電話でサポートする
といった形で、初めての方でもスムーズに準備できるよう対応しています。
2回目以降はさらにスムーズに
一度手続きを経験すると、「何を準備すればいいか」が把握できます。
2回目以降は、情報の準備から提出まで、よりスムーズに進みます。
6. 実際の料金比較
「単発だと料金が高くなるのでは?」という疑問にお答えします。
弊社の年次手続き料金
手続き | 従業員数 | 初回 | 2回目以降 |
算定基礎届 | 1〜5名 | 40,000円 | 20,000円 |
労働保険確定申告(年度更新) | 1〜5名 | 40,000円 | 20,000円 |
※従業員数が6名以上の場合は別途お見積りとなります。事前にお見積りをお出しします。
初回に費用がかかるのは、従業員情報の整理や初期確認など、初回のみ発生する作業があるためです。2回目以降は情報が整っているため、料金が下がります。
顧問契約との比較
前述の通り、顧問契約を結んでいても、算定基礎届・年度更新は別途料金が発生します。
多くの社労士事務所では、算定基礎届・年度更新それぞれについて、月額顧問料の1ヶ月分を別途請求しています。
例えば、月額顧問料が2万円の場合:
顧問契約の場合(月額顧問料2万円):
年間顧問料:240,000円
算定基礎届(別途):20,000円
年度更新(別途):20,000円
年間合計:280,000円
弊社に単発でご依頼の場合(1〜5名・初回、2回目以降):
算定基礎届:40,000円、20,000円
年度更新:40,000円、20,000円
年間合計:80,000円、40,000円
差額:初回:200,000円、2回目以降:240,000円
年次手続きの料金はほぼ同水準でも、顧問契約には毎月の顧問料が上乗せされます。トータルコストで見ると、単発の方が大幅に費用を抑えられるのです。
7. 今日のまとめ
今回は、「算定基礎届・年度更新の単発手続き」について検証しました。
重要なポイント:
顧問契約でも算定基礎届・年度更新は別途料金が発生する
多くの事務所で月額顧問料1ヶ月分を別途請求
料金が発生する点は、単発と変わらない
書類準備は、給与計算の依頼状況によって異なる
給与計算を社労士に依頼している場合は手間が少ない
自社で給与計算している場合は、単発と同様に準備が必要
年次手続きこそ単発が向いている
時期が明確に決まっているため管理しやすい
内容が毎年ほぼ同じため、2回目以降はスムーズかつ料金も下がる
トータルコストは顧問契約より大幅に低い
年次手続きの料金は単発も顧問契約もほぼ同水準
顧問契約には毎月の顧問料が上乗せされる分、年間で大きな差が生まれる
結論:
「顧問契約があれば年次手続きも安心」というのは思い込みです。料金は別途発生し、書類準備も自社で給与計算をしている場合は単発と変わりません。時期が明確な年次手続きは、むしろ単発手続きに最も向いているタイプの手続きです。
8. 次回予告
次回は、第6回「『法改正への対応は、顧問契約がないとできないのでは?』」をお届けします。
「法律が変わったとき、顧問契約がないと対応できないのでは?」 「法改正の情報を、どうやって入手すればいい?」
こうした不安について、詳しく解説します。
法改正情報の提供方法
必要な時だけの対応で十分な理由
顧問契約でも法改正対応されていない実態
弊社での法改正対応サポート
「法改正への対応が不安」という方は、ぜひ次回もご覧ください。

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